SOUNDPEATSから4月22日に発売された新型の完全ワイヤレスイヤホン、Mini Proのレビューをお届けする。
アクティブノイズキャンセリングに対応していながら、SOUNDPEATSらしい低価格を維持している点が特徴。また、価格の割に質感にも力が入れられている。
本記事では、SOUNDPEATS Mini Proを実際に使用して音質やノイズキャンセリングの効果、電池持ちなど検証しレビューしていく。包み隠さずありのままをお伝えするので、ぜひ最後まで読んで頂ければ幸いだ。
▼動画でもレビューしています。
https://www.youtube.com/watch?v=qMoiDCotGQE
製品提供:SOUNDPEATS JAPAN
結論:SOUNDPEATS Mini Proのよい点とイマイチな点
まず最初に結論をまとめておこう。Mini Proを使ってみて、よいと感じたポイントとイマイチだと感じたポイントは以下の通りだ。
よい点
- 安い
- サラサラ質感でチープ感が少ない
- ANC対応
- aptX Adaptive対応
イマイチな点
- ANCの効果はそこそこ
- ポートが背面なので充電中のスタイルがイマイチ
- アプリがログイン必須
外観とデザイン:サラサラで上質だが改善の余地アリ
Mini Proは、ブラックとホワイトの2色が用意されている。今回は、レビュー用にホワイトを送って頂いた。
ケースは楕円型で、以前レビューしたFreeBuds Pro 2に近い形状。筆者がこれまで試してきた完全ワイヤレスイヤホンのなかでは比較的コンパクトな部類だ。
実際に触ってみると、質感の高さに驚かされた。プラスチックながらシリコンのようなマットかつ柔らかな手触りに加工されており、低価格モデルながら安っぽさは全く感じられない。
光沢のあるホワイトの場合、汚れは付きにくくても光の当たり方によってはスレや傷が目立ってしまいがちだ。しかし、Mini Proのようなスベスベしたテクスチャであれば傷もほとんど気にならないので、綺麗な状態で使い続けやすい。
イヤホン本体は、AirPodsのような軸を搭載したスタイルではなく丸みのあるGalaxy Budsに近いタイプ。
正面からだとわかりにくいが、途中の”くびれ”で区切るとイヤーピース部分・中央・外側とまるで3段構成になっているようにも見える。中央部分と一番外側の部分がやや大きく、完全ワイヤレスイヤホンとしては珍しい「厚み」のある形状と言える。
そういった特徴的な形状のためか、装着には若干苦労したのも事実。
付けてしまえばフィット感はわるくないのだが、どの向きで装着するのが正しいのかかなり迷ってしまった。
先ほどの3段構成でいうところの中央部分が上手く耳の形にハマる向きを手探りで見つける必要があるので、スムーズな着脱には多少時間がかかるかもしれない。
音質:何でもそつなくこなすタイプ
実際にMini Proの音質をチェックしてみる。
Mini Proの対応コーデックは、SBC・AAC・aptX・aptX-Adaptiveの4種類。今回は、筆者の所有している端末の都合によりaptXでの音質をチェックした。
SpotifyやAmazon Music Unlimitedなどでさまざまな曲を聴いてみて、真っ先に抱いた感想は「何でもそつなくこなすタイプ」だ。
1つの曲のなかには、低音や高音とそれらの音を個々に構成する楽器があり、一般的なJ-POPであればそこにボーカルも加わる。Mini Proはそれらの音1粒1粒を丁寧に描写し、なおかつ音の広がりや空間、もう少し大雑把な表現をすると余韻や余裕も感じられる。
各音質に注目すると、低音域の方がやや主張が強め。高音域も綺麗で刺さるような感覚はない反面、やや伸びが物足りない印象だ。また、ボーカルは非常に自然でしっかりと前に感じられるので、ボーカル曲との相性はよいと言える。
構造・スペック面についても触れておくと、Mini Proに搭載されているのは10mmのドライバー。
公式サイトの説明によると、振動板にはバイオセルロース素材が採用されており、繊細かつ高解像度な中高音域を実現しているとのこと。Mini Proの丁寧な表現やナチュラルなボーカルは、このバイオセルロース素材の振動板によるところが大きいのかもしれない。
ゲームモードで遅延を改善
Mini Proには、遅延を抑えるゲームモードも搭載されている。
実際、ゲームモードを有効にすると明らかに遅延が改善されていることを体感可能。ゲームモードオフの状態ではワンテンポ遅れて聞こえていた音が、多少スムーズに聞こえるようになる。
ノイズキャンセリングと外音取り込み
Mini Proは、6,000円台という非常にリーズナブルな価格ながらアクティブノイズキャンセリングにも対応している点が特徴。
フィードフォワードマイクとフィードバックマイクの両方を活用したハイブリッド方式のノイズキャンセリングであり、最大35dBのノイズ低減性能を謳っている。
実際に新幹線のなかで使用してみると、ある程度の騒音がノイズキャンセリングにより相殺されてかなり快適に過ごすことができた。
さすがに新幹線の走行音を完全に消すことはできなかったが、部屋のエアコンの音程度であればほぼ聞こえないレベルまで低減可能。キーボードのタイピング音や来客時のチャイム、人の話し声などは比較的貫通して聞こえやすく、電車や車のロードノイズなどを消すのが得意な傾向にあるとも感じた。
気になるようなホワイトノイズもなく、6,000円台という価格を考慮すれば十分すぎる仕上がりだ。
パススルーモード(外音取り込み)を有効にすると、イヤホンを付けていない状態とほぼ同じ程度の音量で周囲の音を聞きとれるようになる。
音質は若干ザラザラとしている場合もあるが、基本的には自然で違和感は少ない。屋外で車や自転車に気を配りながらMini Proを使いたい場合にははもちろん、コンビニやカフェなどで店員さんとちょっと会話をするときなどにもぜひ活用したい機能だ。
タッチ操作:精度は良好
Mini Proが対応している音楽を聴いている際に使えるタッチ操作は以下の通り。タッチの感度は良好で認識される範囲も広く、快適に操作できる。
機能 | 左耳側の操作 | 右耳側の操作 |
---|---|---|
電源オン | 1.5秒タップ | |
電源オフ | 10秒タップ | |
音楽の再生/停止 | ダブルタップ | |
曲送り | – | 1.5秒タップ |
ボリュームアップ | 1回タップ | |
ボリュームダウン | 1回タップ | |
音声アシスタント起動 | – | 3回タップ |
ANC / 外音取り込み / ノーマルモードの切り替え | 1.5秒タップ | – |
低遅延(ゲーム)モードのオン・オフ | 3回タップ | – |
ペアリングモードに移行 | 6秒タップ |
正直に述べると項目が多いので、覚えるのは大変。上記に加えて着信時の応答や拒否などの操作もあるため、全ての機能をスムーズに扱えるようになるにはある程度慣れるまで時間がかかるはずだ。
なお、詳細は次の項目で解説するがMini Proはアプリにも対応している。アプリによるタッチ操作のカスタマイズ機能は用意されていないが、シングルタップを無効化する機能は搭載されているので、不意なタッチによる誤操作はほぼ全て防止可能だ。
再生や停止がダブルタップで、曲送りやANCモードの切り替えなどが1.5秒の長押しといった半端なトリガーになっているのは、このシングルタップ無効化機能ゆえだろう。ユーザーの欲しいであろう機能とそうでない機能を予測し、先回りして設計されている。
アプリ:ログイン必須はやめて
Mini Proは、スマホ向けアプリの「SOUNDPEATS」に対応している。Mini Pro専用のアプリというわけではなく、複数のSOUNDPEATS製イヤホンが順次対応し登録できるようになっているようだ。
- Android:Google play
- iPhone:App Store
アプリを使用すると、ノイズキャンセリング・外音取り込み・ノーマルモードの切り替えやゲームモードのオン・オフ、シングルタップの無効化などの機能を利用可能。
イコライザーの設定にも対応しており、SOUNDPEATSクラシック(デフォルト)・低音強調・低音低減・電子音・ロック・民謡・高音強調・ポップ・クラシックからプリセットを選択できるほか、自由にカスタマイズも行える。
カスタマイズした内容をプリセットとして複数保存する機能には非対応だが、格安完全ワイヤレスイヤホンのサポートとしては十分な内容だろう。
本アプリで気になるのは、初回起動時にログイン or 会員登録を求められる点。ログインしないと次に進めない仕様なので、事実上アプリを利用するには会員登録が必須だ。
会員登録自体はメールアドレスを登録し、送られてくる認証番号を入力するだけなので難しくはない。しかし、イヤホンを使いたいだけなのにわざわざ会員登録させられるのは正直言って面倒。
これがレビューではなくプライベートだった場合、筆者は間違いなく「じゃあいいや」とアプリの使用をぶん投げていた。
また、アプリの存在自体Mini Proの公式ページでも一切触れられておらず、ユーザーに使わせたいのか使わせたくないのかイマイチはっきりしないというのが個人的な感想だ。
電池持ち:必要十分
スペックシートによると、Mini Proはノイズキャンセリングオフの状態で約7時間、ノイズキャンセリングオンの状態で約5時間連続で使用できるとのこと。
実際にノイズキャンセリングオン・オフ両方の状態でMini Proを使用し、バッテリーがゼロになるまでの時間を計測して電池持ちを検証した。
経過時間 | ノイズキャンセリング – オン | ノイズキャンセリング – オフ |
---|---|---|
0分 | 100% | 100% |
1時間 | 80% | 80% |
2時間 | 60% | 70% |
3時間 | 40% | 50% |
4時間 | 20% | 40% |
5時間 | 0% | 20% |
6時間 | – | 10% |
結果は、ノイズキャンセリングを有効にすると約5時間、無効にすると約7時間。ほぼ公称値通りの結果だ。
電池持ちがとてもよいと言えるほどではないものの、ノイズキャンセリングを有効にしても約5時間は充電の手間がかからないので使い勝手は良好。
電池持ちについては特に不満はなくどちらかというと満足度の方が高い。
一方、充電方法については気になる部分があるため触れておきたい。
Mini Proのバッテリーケースは、底面ではなく背面に充電用のUSB Type-Cポートを搭載している。そのため、充電すると画像のようにケーブルが上に向かって飛び出す形となってしまう。
充電のしやすさや速度には全く影響はないが、正直言って見栄えは悪い。できれば底面にType-Cポートを搭載したうえで、背面にはワイヤレス充電用のコイルを搭載していてほしかった。
まとめ
以上、SOUNDPEATS Mini Proのレビューをお届けした。
6,000円台の低価格ながらノイズキャンセリングや外音取り込み、イコライザー調節など、完全ワイヤレスイヤホンに求められるほとんどの機能を網羅している点が特徴。また、機能だけではなくデザインや質感の面でもこだわって設計されているので、価格に対する満足度はかなり高い。
1万円を切るような低価格の完全ワイヤレスイヤホンを検討している方は、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。